溶接継手性能 判定基準(A 級)

(2020年度版建築物の構造関係技術基準解説書より抜粋)

1の2 溶接継手性能判定基準

第1 適用範囲

本基準は重ね継手、ガス圧接継手及び重ねアーク溶接継手を除く鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造及びこれらのプレキャストコンクリート造の鉄筋の溶接継手に適用する。

第2 継手性能の分類

1の1の第2の2にいうA級継手とする。

第3 継手性能の判定

継手性能の判定は、継手単体の試験による。

  1. (1)
    JIS G3112の「9 試験」に定められた引張試験を行い、以下の(a)~(c)の条件を満足すること。
    1. (a)
      降伏点強度
      σy ≧ σy0
      ここで、
      σy:接合鉄筋の降伏点強度
      σy0:母材の規格降伏点強度
    2. (b)
      引張り強度
      σb ≧ 1.35 σy0 又は σb0
      ここで、
      σb:接合鉄筋の引張り強度
      σb0:母材の規格引張り強度
    3. (c)
      接合鉄筋の破断は母材部分で生じること。
  2. (2)
    一方向繰返し試験を行い、接合鉄筋の破断は母材部分で生じることを確認すること。ここで、一方向繰返し試験は、以下の要領で行う。
    1. 引張り方向に応力σがσyの1.2倍以上(又はひずみεが3%以上)になるまで載荷し、その時の応力をσcとし、応力がσ=0.05σy0になるまで除荷する。
    2. 応力がσ=0.05σy0とσ=σcの間で、載荷と除荷を20回繰り返し、その後、引張り破断させる。
  3. (3)
    JIS G3112の「6 機械的性質」の「曲げ性」の規格を満足すること。ただし、曲げ角度は90度以上とする。
  4. (4)
    プレキャストコンクリート造の接合部に継手を設ける場合の性能は、原則として実際の接合条件を再現する部材の試験結果を併用して判定する。
  5. (5)
    継手の判定に際しては、継手の品質管理基準、仕様書及び設計施工要領等によって推定される実際の構造物の継手の性能を考慮に入れる。