鉄筋の継手の構造方法を定める件

平成十二年五月三十一日
建設省告示第千四百六十三号

建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)第七十三条第二項ただし書(第七十九条の四において準用する場合を含む。)の規定に基づき、鉄筋の継手の構造方法を次のように定める。

  1. 建築基準法施行令(以下「令」という。)第七十三条第二項本文(第七十九条の四において準用する場合を含む。)の規定を適用しない鉄筋の継手は、構造部材における引張力の最も小さい部分に設ける圧接継手、溶接継手及び機械式継手で、それぞれ次項から第四項までの規定による構造方法を用いるものとする。ただし、一方向及び繰り返し加力実験によって耐力、靭じん性及び付着に関する性能が継手を行う鉄筋と同等以上であることが確認された場合においては、次項から第四項までの規定による構造方法によらないことができる。
  2. 圧接継手にあっては、次に定めるところによらなければならない。
    1. 圧接部の膨らみの直径は主筋等の径の一・四倍以上とし、かつ、その長さを主筋等の径の一・一倍以上とすること。
    2. 圧接部の膨らみにおける圧接面のずれは主筋等の径の四分の一以下とし、かつ、鉄筋中心軸の偏心量は、主筋等の径の五分の一以下とすること。
    3. 圧接部は、強度に影響を及ぼす折れ曲がり、焼き割れ、へこみ、垂れ下がり及び内部欠陥がないものとすること。
  3. 溶接継手にあっては、次に定めるところによらなければならない。
    1. 溶接継手は突合せ溶接とし、裏当て材として鋼材又は鋼管等を用いた溶接とすること。ただし、径が二十五ミリメートル以下の主筋等の場合にあっては、重ねアーク溶接継手とすることができる。
    2. 溶接継手の溶接部は、割れ、内部欠陥等の構造耐力上支障のある欠陥がないものとすること。
    3. 主筋等を溶接する場合にあっては、溶接される棒鋼の降伏点及び引張強さの性能以上の性能を有する溶接材料を使用すること。
  4. 機械式継手にあっては、次に定めるところによらなければならない。
    1. カップラー等の接合部分は、構造耐力上支障のある滑りを生じないように固定したものとし、継手を設ける主筋等の降伏点に基づき求めた耐力以上の耐力を有するものとすること。ただし、引張力の最も小さな位置に設けられない場合にあっては、当該耐力の一・三五倍以上の耐力又は主筋等の引張強さに基づき求めた耐力以上の耐力を有するものとしなければならない。
    2. モルタル、グラウト材その他これに類するものを用いて接合部分を固定する場合にあっては、当該材料の強度を一平方ミリメートルにつき五十ニュートン以上とすること。
    3. ナットを用いたトルクの導入によって接合部分を固定する場合にあっては、次の式によって計算した数値以上のトルクの数値とすること。この場合において、単位面積当たりの導入軸力は、一平方ミリメートルにつき三十ニュートンを下回ってはならない。
      T=0.2aφσs/1000
      (この式において、T、a、φ及びσsは、それぞれ次の数値を表すものとする。)
      T:固定部分の最低トルク値(単位 ニュートンメートル)
      a:主筋等の断面積(単位 平方ミリメートル)
      φ:主筋等の径(単位 ミリメートル)
      σs:単位面積当たりの導入軸力(単位 一平方ミリメートルにつきニュートン)
    4. 圧着によって接合部分を固定する場合にあっては、カップラー等の接合部分を鉄筋に密着させるものとすること。

附則
この告示は、平成十二年六月一日から施工する。