第5章 溶接作業
5-1 溶接技能者 JIS Z 3882
溶接技能者はアーク溶接特別教育受講修了書又は JIS Z 3841(SA-2F 以上)を有し、JIS Z 3882 による資格試験に合格した者が施工する。
資格種別と継手施工範囲は JIS Z 3882 に順ずるものとし、表15に示す。
※範囲内における異径間継手及び異鋼種異径間継手は全ての資格に含まれるものとする
5-2 溶接施工準備
溶接技能者は施工前日に施工内容の確認、機器の点検、治具工具類の確認及び炭酸ガス、溶接ワイヤ、裏当て材の準備を行うものとする。
- (1)溶接技能者は、動力結線後、溶接装置、治具工具類の始業前点検を必ず行う。
- (2)溶接技能者は施工鋼種、呼び名(圧延マーク等)のチェックも行い、現場材料に相違が無いか確認する。
- (3)鉄筋の開先端面は原則として受け入れのままとする。異常な端曲り、端面変形のあるものは機械切断等により再加工する。(写真3参照)
- (4)ガス切断時のスケールやバリ等はグラインダー、ワイヤブラシ等で除去する。
- (5)開先端面のペイント、錆、セメントペーストなどは布、溶剤、ワイヤブラシ等で除去する。
5-3 溶接条件
- (1)溶接は、本標準仕様書に基づいて誠実かつ確実に行うものとする。
- (2)裏当て材の刻印が鉄筋呼び名にあっているか必ず確認する。(3)溶接電流、電圧、開先間隔、炭酸ガス流量の標準条件を表16に示す。
表16 溶接条件
注① 溶接姿勢は、下向き(梁筋)、横向き(柱筋)とし同一溶接条件とする。
注② 異径間継手の電流電圧条件は、太径の条件とする。
注③ ワイヤ突出し長さの調整(太径用ノズル)酸ガス溶接のワイヤ突出し長さは、アークの安定、溶け込みを得るため35㎜程度が適正である。呼び名D38以上は、専用ノズルを用いて、ワイヤ突出し長さを調整する。
(4)初層溶け込み確認試験(始業前試験)本溶接を始める前に当日施工する材料を用い表17の要領で初層溶け込み確認試験を行う。当確認試験の最大の目的は、機器の点検、適正電流、初層溶け込みの確認である。初層溶け込み確認試験は当日の施工場所にて施工する鋼種、呼び名ごとに溶け込みが確認できるまで行う。
表17 初層溶け込み確認試験要領及び試験結果写真
5-4 溶接作業手順(梁筋、柱筋)
5-5 溶接作業手順(異径間継手の場合)
5-6 運棒方法(梁筋の場合
アークスタートの位置、溶接速度、ウィービング、仕上げ溶接
5-7 運棒方法(柱筋の場合)
仮付け溶接、アークスタートの位置、溶接速度、ウィービング、仕上げ溶接
5-8 天候
天候による現場施工の判断は、施工管理責任者と現場係員の協議により決定する。
強風、降雨又は、降雪の場合は次の基準による。- 1)雨、雪時の施工は原則として行わない。ただし、雨除け防止シートなど的確な防護防水用具を用いた場合は、その限りではない。
- 2)雨上がり施工では継手部を完全に乾燥させた後施工するものとする。
- 3)風のない天候でも突風の影響を避けるため、極力ガスフード(風除け)を用いる。
5-9 安全と防災
- (1)溶接技能者は、溶接作業にあたって労働安全規則、高圧ガス取締法、その他関連法規を遵守し、常に安全に留意しなければならない。
- (2)溶接技能者と手元工は、作業にあたり、アーク溶接、ガス切断等の火花などにより作業環境内の可燃物が損傷の可能性がある場合には適正な防護処置を講じるものとする。
- (3)施工管理責任者は、溶接作業者が常に安全で安定した姿勢で作業が確保できる環境(足場、作業空間)を現場係員と相談し設定する。
- (4)溶接技能者、手元工は、安全のため安全帽、皮手袋、溶接面、防塵マスク、安全帯等の保護具類を着用するものとする。
- (5)溶接技能者、手元工は、溶接ケーブル接続部、破損部などの露出部は、常に点検し絶縁対策を施すこととする。
- (6)溶接技能者、手元工は、感電防止のため皮膚の露出、作業着の水濡れ状態での作業は、絶対に行わない。
- (7)溶接技能者は、作業環境近傍に他の作業員がいる場合にはアーク光遮蔽に努める。